【活動レポート】「さいたま断熱改修会議」潜入記。建売のC値やシロアリ防除の罠まで、建築のプロが本音で語り合う理由


こんにちは!リンクツリーの牧です。
9月8日、私が所属している「さいたま断熱改修会議」の定例ミーティング&勉強会に参加してきました。
「さいたま断熱改修会議」とは、埼玉県内の設計士、施工店、工務店、建材メーカーなどが立場を超えて集まり、「どうすれば埼玉の住まいを本当に暖かく、涼しく、長持ちさせられるか」を住宅物理の観点から本気で追求・研究している実務者のプロ集団です。
今回は、大きく3つの重要なテーマについて濃密な時間を過ごしてきました。現場の裏話も含め、家づくりやリフォームを考えている方に知ってほしい真実をレポートします。
1. 10/10「アリオ上尾」開催!上尾市との断熱体感ブースをDIY製作
まず午前中は、10月10日にアリオ上尾で開催される、上尾市(ゼロカーボン推進課)とのタイアップイベントに向けた準備を行いました。
一般の方に「断熱がある家とない家で、どれだけ室温や快適性が違うのか」を肌で感じていただくための「断熱体感ブース」のモックアップをメンバーで自作しました。

木工所でダクトや断熱材を組み込み、実際の空気の流れや熱の伝わり方を再現する体感ボックスを製作。
図面や数値だけで説明されても、断熱の凄さはなかなかピンとこないもの。プロ自ら木材を加工し、配管を繋ぎ、体感できる仕掛けを形にしました。10月10日にアリオ上尾にお越しの際は、ぜひこのブースに入って「本物の断熱の差」を体感してみてください!
2. 実務者勉強会:シロアリ対策の真実と「気流・C値」の深い闇
午後からは、メーカーや専門技術者を交えた専門的な勉強会です。今回は特に「シロアリ対策」と「気流・換気経路」について、極めて実践的な議論が交わされました。
① 人体への影響と「ホウ酸」による恒久防蟻
高気密住宅が増えた現代において、従来の農薬系殺虫剤による防蟻処理には注意が必要です。揮発した薬剤が室内に滞留することで、化学物質過敏症だけでなく、子どもの自閉症などの発達障害との関連性も指摘されています。
シロアリの侵入経路: シロアリは地面から約30cm下を水平に移動して基礎に到達します。施工時の水抜き穴や打ち継ぎ部のわずかな隙間から侵入するケースが後を絶ちません。
無機物「ホウ酸」の圧倒的優位性: 目薬などにも使われる安全な「ホウ酸」を用いた処理は、無機物のため分解されず、効果が理論上1000年以上持続します。
基礎立ち上がりに行う「一次防蟻」
床より上の構造木部に行う「二次防蟻」
これらを組み合わせることで長期保証が可能になります。ただし、ホウ酸は水溶性で雨に弱いため、施工中の徹底した雨養生が不可欠。不快害虫の予防にも極めて有効です。
② 換気経路の罠と、建売住宅のC値(気密性能)の現実
続いて、第3種換気と冬場の気流についての検証です。

スライドを用いて「第3種換気における空気の通り道」と「漏気による換気ショートサーキット」のメカニズムを検証。
冬場、暖められた空気は家の下から上へと上昇するため、2階寝室の壁にある給気口は、室内の上昇気圧に押されて外気をうまく吸い込めなくなります。排気口の近くに隙間があればそこから空気を吸ってしまい、寝室まで新鮮な空気が届かない「換気不足」が起きてしまいます。
さらに、大手ビルダーの建売住宅の実態についても赤裸々なデータが共有されました。
大手建売(飯田グループ等)のC値: 実測すると概ね「3.0前後」が多い。
2003年の24時間換気義務化以降の住宅: 義務化後の物件でも、気密処理を意識していない標準仕様ではC値3.0程度に留まる。
漏気(すきま風)の主原因: プレカット材の接合部の隙間、および壁内を貫通する「分電盤まわり」からの漏気が大半を占める。
気密測定において「C値2.0以下(理想は1.0以下)」をクリアするには、単に窓をペアガラスや内窓にするだけでは届きません。壁内・床下の「気流止め」や貫通部の隙間処理をセットで行う「家全体の構造ハック」が不可欠です。
3. 過去の実績に甘えない。設計・施工・メーカーの本音ディスカッション
最後は、メーカー、現場の施工者、設計士が車座になり、「どうすればもっとコストを抑えて隙間を塞げるか」「現場で施工ミスを防ぐ納まりはどれか」を徹底的に議論しました。
私がこの会議に参加して最も刺激を受けるのは、「誰も過去の実績や現在の仕様に満足していない」という意識の高さです。
自社の工法を誇るのではなく、「ここからさらにどう良くするか」「どうすればお客様の家を30年後も健全に保てるか」という課題意識を全員が共有しています。
店長・牧からの本音メッセージ

もし埼玉周辺で新築や大規模リフォームを検討されているなら、デザインや表面的な坪単価だけで選ぶのではなく、こうした勉強会に足を運び、構造や気密を泥臭く研究し続けている工務店・設計者をぜひ候補に入れてほしいと心から思います。




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